失敗しないコワーキングスペースの作り方

by • 2016年8月9日 • INNOVATION, Sharing EconomyComments (0)3159

2016年8月9日の International Coworking Day(世界コワーキングデイ) に乗っかって記事を書きます。

ほぼ毎日「コワーキングスペースをつくりたい」「仲間が集まるための場がほしい」「空きスペースを活用してまちづくりをやりたい」など様々な理由でコワーキングスペース秘密基地に見学に来られる方がいらっしゃいます。そういった方々にボクなりの知識と経験の話をすると、皆さん「へぇー、そうなんですねぇ。知らなかったです。でも考えてみたら当たり前ですねぇ」といって納得されて帰られる事がしばしば。今日はそのあたりのお話しを少し書いてみようと思います。

みなさんこんにちは、コワーキングスペース秘密基地でクリエイティブ観察者という役職で関わっています岡浩平です。チャームポイントは前歯です。

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コワーキングスペースは、交流するための場であり、コミュニティを創出する場であります。やがて集まってくる人によって思いもよらない方向へ進化していきます。コワーキングスペースの運営者としてまず大事なのは、どんな人たちが、どんな風に集まり、その人たちとどんな未来を描いていくのかというビジョンを持つことです。かっこいい風な施設の見た目や、有名デザイナーが設計したイスの有無が大事なのではないということです(正確に言うとそんなの後でもいいという事)。

ということで今日書きたいのは、コワーキングスペースと言うと「スペース=箱物」のイメージがありますが、ほんとに重要なのは「ハード(箱)」ではなく「ソフト(中身)」の方であるというお話しです。ハードの部分はソフトが見えてくることによってカタチづくられるものであり、それをカタチにするのが本来の建築家の仕事です。ところが高度経済成長期の中、スクラップアンドビルドに慣れ親しんできた事で、先に箱物ありきの思考回路ができあがってしまっているという話は、ちょっと長くなるので割愛します。先に物件を決めてコワーキングスペースを作ると利用者にとって使い勝手が悪く、移転、改装したり増床したり(これは嬉しい悲鳴)、最悪閉店したりする可能性があります。では秘密基地はどうしたのかというと、ボクやオーナーは元々建築設計をやっており、逆にハードからソフトをイメージすることができたので、どうなっても割と使い勝手の良い設計ができたこと、はじめから完成させず用途に合わせ徐々にシフトしていけるよう余白を残していた事、それによって変化に耐えうるスペースを設計し運営することができました(じゃー、ハードが先でもできるんじゃないか!と思うかもしれませんが、後で追加工事が発生する可能性が高いので建設業から遠い人は要注意です)。

コミュニティは集まる人たちがつくるもの

ある日突然にコミュニティは生まれるものではありません。コワーキングスペース運営者がビジョンを描くことで、その旗の元にメンバーたちは集まってきます。秘密基地であれば「インキュベーション」「海外進出」「まちづくり」などなど。まずは、それに関われそうな人たちを招き、交流スペースや語る場所の必要性を説いて、飲み会でも開催して「こういう部屋があると打合せで使えて便利」「バーカウンターが要る」「壁がホワイトボードだといいね」などの意見が出るような機会を作ることです。そうすると「私、セミナーやりたい」「懇親会やりたい」などいろんな意見が出てくるはずです。このお話は町の集会場や居酒屋でもできますし、公園でもできます。一番いいのは空き物件を利用してオーナーに一日だけ貸してもらえるよう交渉して、そこで皆で議論する機会を作ることです。これに集まってくれるメンバーは自分のあったらいいなが実現することから、このコワーキングスペースのファンになります。運営者のビジョンを支えてくれるフォロワーになります。そして運営者は彼らを大切にすることこそ最も重要なことなのかもしれません。コワーキングスペースの運命は彼らと共にあるといっても過言ではないのです(入れ替わりもあるけど)。

 

本音がでる空間をつくる

ここでハードの話も。秘密基地のメインコンテンツの1つである創生塾が、某市に出張して「まちづくりに関するワークショップ」を行ったことがあります。このワークショップはスペシャルなファシリテーターが進行したこともあり、ものすごく生産的なワークショップとなりうまくいったのですが、その時痛感したことをお伝えしたいです。某市でのワークショップで利用した施設は行政の管理している施設(そこは新しくてキレイなところだった)でした。行政の施設というと無機質な事務的な空間を想像できると思うのですが、ここもまたその通りでした。こういう所でまちづくりに関するイベントをやった場合、本音が出るまでにすごい時間がかかりました。やっと本音が出たころには時間切れです。このワークショップは複数回にわたって開催されたのですが、前回の議論が空間的に蓄積されておらず、毎回ゼロからスタートする感覚を覚えました。いかに空間が与える影響が大きいかと感じました。これは会議室でいいアイデアでないけど、居酒屋でやるといいアイデアででるパターンと同じだといえます。秘密基地ではソファを置いたり、蛍光灯を使用しないなど、くつろげる空間づくりに配慮しています。

 

コワーキングスペース運営者がやるべきこととは?

企業が企業を買収して事業を拡大するように、コワーカー同志が、お互いが経験してきた知見を提供することで、一人の能力では決して描くことができなかった未来を描くことができます。そこでしか生まれない独自の交流は、他の施設や企業では決してマネできない大変価値のあるものです。その未来にあるものに対して、参加者が惜しみなく自分の経験値を提供できるかどうか、その心の交流から生まれる、相手に貢献する気持ちこそが「ほんとうのシェアの概念」であり(コストダウンのために行うシェアと明確に違う)、そこに集う人たちがチームとなれるような環境の創出こそがコワーキングスペース運営者がやるべき仕事だと思います。僕らはこれまで多くの事をお金を使って解決してきました。お金は知らない人同士を信頼に値するかどうか測るためのツールです。それには心の交流は必要ありません。そう、だから気が付かなかったのです。二人や三人だけの関係ならばお互いの知見は役に立たないかもしれませんが、町みたいな規模がひとつのチームだったらどうでしょう。必ず誰かが誰かの役に立つはずです。そのまだ見ぬ社会に根差しているのがコワーキングだと考えます。コワーキングはアメリカ西海岸で生まれた文化で、お互いに貢献することでその文化を守っています。もともと同じ民族で構成されている日本人にとって、既存の枠組みでの同意形成は簡単なようで意外と難しいのものです。日本の至るところ(とくにローカル)にコワーキングスペースができれば、自分にマッチするスペースを選べて自分の居場所が見つかります。それが新しいコミュニティとなって隆盛していけばいいなと思います。

まちはチームだ黒文字

かしこ

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