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『福祉とコワーキングスペース』①

『〇〇とコワーキング』といったテーマで、秘密基地のメンバーである原田さんに記事を書いていただきます。
[連載]

今回は『福祉とコワーキングスペース』。
2回に分けて、投稿したいと思います。


近年、高齢者だけが優遇されているという論調をちらほら見かけます。

しかし、現実は本当にそうでしょうか?

もし、高齢者世帯が手厚い福祉を受けているのだとしたら、そもそもケアラーが社会問題として取り上げられる事はないでしょう。

我が家の場合、母が肺炎と膠原病を併発している関係で、2週に一度の通院が必須になっています。

しかし、有料老人ホームでは通院は保険適用外になるため、送迎と付き添いは家族の役割になります。

施設に預けたからと言って丸投げになるわけではありません。

加えて母の場合、入院時に暴力を振るったことで、自ら入所のハードルをあげてしまいました。

しかも、自力で歩く事もままならないにも関わらず、介護保険の要介護度数は1のままです。

手厚い福祉どころか、福祉自体、今ですら家族の犠牲無くしては成り立たなくなっているのです。

よく、介護と子育てを同列に語る方がいますが、厳密には間違いです。

子育ては最初こそ確かに大変ですが、子どもが成長していくに従って、だんだん手がかからなくなります。

介護は、今日できていたことが明日はもうできなくなる世界です。

したがって、ケアラーの負担は日を追うごとに増えていきます。

正直、今の母は自分の排泄すら満足にできなくなっています。

こういう状態ですから、いざ介護がはじまると、仕事どころではなくなってしまうのです。

仕事をしなければ、もちろん収入は入りません。

多くのケアラーは貯金を切り崩すなどして凌いでいますが、経済的にも追い詰められるわけです。

また、介護する側が若い世代だと実感が湧きにくいでしょうが、そう遠くない将来自分が介護される側になる可能性がある我が身を振り返ると、自分の未来にも希望がもてなくなります。

とはいえ、自分の未来は自分で選択して変える事が可能です。

私の場合、がんになった事で身体のケアは必須になっていますし、ヨガで足りない運動時間も確保していますので、最悪の未来を遅らせる事は可能でしょう。

現実問題、介護に時間を割かれるとケアラーの心身負担はえげつないものがあります。

自分のケアを怠らないようにしている私でさえ、気がついたら心身共に追い詰められている事も少なくありません。

本当はどこかで息抜きしたいところなんですが、デイサービスは24時間面倒を見てくれるわけではないので、なかなか気が休まらないというのが現状なのです。

コワーキングスペースでシェアされる知見や体験は、現在進行形のビジネスに限った話ではありません。

今は存在しませんが、公的福祉が及ばない部分をサポートできるサービスが構築されれば、それはビジネスチャンスにもなりえます。

そうした点からも介護される当事者とその家族が救われていかないと、いずれ我々の社会は立ちいかなくなるでしょう。

側からは見えにくい社会的問題こそシェアされるべきですし、知識を得る事でケアラー予備軍になる人の負担も減らせるのではないでしょうか。

(次回へ続く)

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